こんにちは。
好奇心からの便りです。
神無月と呼ばれる10月も残り少なくなってきました。
こちら出雲大社のある出雲地方(島根県東部)では、旧暦の神在月(かみありづき)に向かい、神迎え関連の神事がはじまり、賑わう時期となりました。
(鳥居足元付近工事中のため下はカットしました。 撮影2022/2月)Photo by koukishin
今回は、その出雲大社にある日本一(ともいわれている)大きいしめ縄の情報をお届けしたいと思います。
出雲大社大しめ縄どこで造り、どうやって取り付ける?
はじめに
全国的には神無月(かんなづき)と呼ばれている10月もあとわずか。
ここ出雲の国(島根県東部)だけは、10月を神在月(かみありづき)といいます。
さて、その出雲で旧暦の神在月(今年は10月25日~11月23日)に、全国の八百万(やおよろず)の神様が出雲大社にお集まりになられ、会議をなさることになっています。
日本一大きな大しめ縄
出雲大社大しめ縄
縁結びの神様としても全国的に知られている出雲大社(いずもたいしゃ)、正式には「いずもおおやしろ」といいます。
その出雲大社で有名なのが日本一とも言われている大きなしめ縄です。
注(日本一の大きさであるかどうかは諸説あるようです)
とにかくまずはこちら、大しめ縄をご覧ください。
とにかく大きいです。
この迫力はもう直に実物を見ていただくしかないと思います。
圧倒されます。
見落としがち大しめ縄
このしめ縄がとても大きいらしいということはご存じの方も多いようですが、実際出雲大社に参拝された方で、このしめ縄を見落とした、あるいは思っていたほどではなかったと感じられた方も多数いらっしゃるようです。
では、なぜそのようなことになるのでしょうか。
実は勘違いされていることが多いのです。
それは何かというと、出雲大社の境内を、ルートに沿ってあたり前に進んで行っても、この大しめ縄には辿り着きません。
大しめ縄はどこ?
では大しめ縄はどこにあるの? という疑問が浮かびますね。
出雲大社ではじめに目に入るしめ縄は拝殿のしめ縄です。
観光客の方はこの拝殿のしめ縄が、あの有名な大しめ縄だと勘違いをされるのです。
拝殿のしめ縄はよその神社で見られるものとあまり変わらない大きさではないでしょうか。
日本一の大しめ縄と言われているのは、この拝殿のものではなく、じつは神楽殿(かぐらでん)という所に取り付けられているのです。
大しめ縄のある神楽殿は、参拝ルートをほぼ一回りした終わりの辺りの手前で、右手に抜けると辿り着きます。
参考までに、拝殿と神楽殿のしめ縄の大きさを比べてみましょう。
拝殿のしめ縄 全長6.5m
重さ1トン
神楽殿のしめ縄 全長13.6メートル
重さ5.2トン
こうしてみると、拝殿のしめ縄もそれなりに大きいのですが、神楽殿の日本一のしめ縄がいかに大きいものかがわかりますね。
どこで造っているの?
日本一しめ縄全景
さて、本題に入っていきましょう。
まずはあらためて、神楽殿にある日本一の大きさを誇る大しめ縄の全景をご覧ください。
威厳すら感じますね。
ではいったいこの大きくて重いしめ縄、どこで造られそしてどうやってここに取り付けられたか。
順を追ってご紹介します。
飯南町大しめ縄創作館
まずは大しめ縄を制作しているという、「大しめ縄創作館」を訪ねてみました。
ここは島根県の中部、広島県との県境に近い飯南町(いいなんちょう)の頓原(とんばら)という地区にあります。
辺りは山々と田園に囲まれた「出雲神話街道」に沿った、のどかな地域です。
頓原 道の駅に隣接しています
大しめ縄創作館正面
創作館館内
創作館の中は、手前部分には様々なしめ縄やパネルなどの展示があり、写真撮影も許可されています。
中ほどに仕切りがあり、後部は制作現場になります。
制作現場は作業風景を見学することはできますが、写真撮影はNGです。
出雲大社の大しめ縄は数年ごとの取り換えなので、見学に行っても制作期間に入っていないとその制作工程は見ることはできませんが、大画面のモニターで大まかな工程を観ることはできます。
また、出雲大社のしめ縄に限らず、日本各地や、海外向けのしめ縄なども作られているため、普段は、数名の職人さん(?)やスタッフの方がそれぞれの作業をしていらっしゃいます。
館内には大しめ縄に取り付けられている円錐の「しめのこ」といわれる実物大のものが吊られていました。
これも間近で見上げると迫力があります。
このしめのこの大きさ
直径1.8m
長さ1.8m
かなり大きいですね。
おまけ
見学に来られた方は手作りしめ縄体験もできるようです。
(体験できない時もあるようですので確認が必要です)
売店も備わっています。
売店には、全国各地の異なるデザインのしめ縄も展示してありました。
また、しめ縄を基本として、花などをあしらった現代的なデザインのものもがあり、インテリアとして季節を問わず飾ることができ、楽しめるおしゃれなものもがたくさんあります。
その他お守りなど、いろいろな手作りの小物も販売されていました。
制作期間
この大しめ縄制作は、飯南町注連縄(しめなわ)企業組合が中心となって、町民の方々、のべ800人が携わられています。
出雲大社大しめ縄は、前の年に収穫した稲の藁束を使って、翌年、5月頃から制作に入り約一年と数か月かかるそうです。
制作工程のパネルがありました
取り付け方
完成した大しめ縄は大型のトレーラーで出雲大社に向けて運ばれていきます。
このとき、しめのこはまだ取り付けないままそれぞれ運びます。
大社に運び込まれた大しめ縄は2台のクレーンを使いながら人の手を借りて取り付けます。
しめのこを取り付けた後、いよいよ飾り縄で取り付けとなります
取り付け作業を終えると、宮司様がお祓いをされ、すべての工程が終了します。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
この工程を見ていくと使用する稲わらの量ですとか、制作時間や関わる人の数などの多さ、また、クレーンでの取り付けの大掛かりな作業などに改めて思いをめぐらすことができると思います。
私は、この飯南町のしめ縄創作館を訪ねたあと、時間がたつごとに気のせいか、なんとなく浄化されたような感覚を感じました。
神社仏閣をお参りした時とはまた少し違うパワーをいただいたような気がしました。
飯南町と神迎え神事 ミニ情報
飯南町にある琴引山は、出雲の国をほぼ見渡せる場所であったため、出雲大社のご祭神「大国主命」がスセリ姫とともに立ち寄られ新居の場を探し、国造りの相談をされた地であるとされています。
そういったことから、神在月の神事は毎年9月23日にこの琴引山で最初に神事が行われます。
地元地域の各家庭では、玄関にしめ縄が飾られ、全国の神様をお迎えするのだそうです。
神迎えの神事はそののち、神在月に「稲佐の浜」から出雲大社へ向かう流れになっています。
稲佐の浜関連過去記事
以上、ざっと出雲大社大しめ縄についてご紹介いたしました。
ご参拝の折には、どうぞ見落としのないようちゃんとご自身の眼で見届けてくださいね。
ご訪問ありがとうございました。